著作物保護

著作権法というと、音楽や絵画や映画などを保護するための法律であると考える人も多いかもしれません。しかしながら、著作権法が保護対象とするのは、上記のような典型的な著作物に限らず、プログラムやデータベースのようなITに関係するものも含まれています。そして、第4次産業革命とも呼ばれる技術革新によって、ITに関連する著作物の保護の重要性も高まっています。

第4次産業革命とは何であるかについては、明確な定義はないようですが、一般にビックデータや人工知能や3DプリンターやIoT等の技術をコアとした技術革新のことであるとされているようです。端的には、データを中心とした技術を用いた産業革命であると考えることもできるでしょう。

第四次産業革命とは何か
第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会(第1回)‐配布資料2より

じつのところ、データ中心アプローチ(DOA)という考え方は、ITの世界では古くから提唱されてきた考え方であり、ITシステム技術者は、ビジネスにおけるデータの流れを把握し、これをシステム内に実現するようにシステム設計をしてきました。第4次産業革命は、データ中心アプローチに従って開発されてきた技術の蓄積が、目に見える形で結実してきたと捉えるべきなのかもしれません。

そして、データベースやプログラムは、データを中心としたシステムを支える技術の代表例であり、データベースやプログラムが著作権法の保護対象であるので、その重要性も高まっているのです。

一方、データベースやプログラムが著作権法の保護対象であるといえども、無条件に保護されるわけではありません(データベースの保護に関しては拙稿を参照)。しかも、一般論としては、単なるデータそれ自体(創作性のないデータ)は著作権で保護されないことにも注意が必要です。

さらに、データを中心にした技術では、複合的保護戦略を考えることも重要です。

データの複合的保護
第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会-報告書概要より

ここでは、3Dプリンターに代表されるデジタルファブリケーション用のデータを例に考えてみたいと思います。

まず、3Dモデルは、実際はデータの集合体ですが、創作性が認められれば、著作物として保護を受けることができるでしょう。

一方、3D造形データは、プログラムとして特許法の保護対象となる余地もあります。

3Dデータの発明該当性
特許庁「IoT関連技術の審査基準等 について」より

しかも、3D造形データが「プログラム等」に該当した場合、特許法や意匠法で保護されている物品に対応する3D造形データが、間接侵害を通じて特許法や意匠法で保護できる可能性も出てくるのです。

3Dデータの間接侵害
第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会-報告書;参考資料より

このように、著作権法の保護対象は、音楽や絵画や映画などに限らず、データベースやプログラムなども含まれます。そして、データを中心にした技術を保護しようとした場合、著作権法だけではなく、他の知的財産法との複合的保護戦略も重要になってきます。

弊所代表弁理士は、データベースの著作権保護に関する著作もあり、さらに特許法にも精通しています。したがいまして、IT関連技術の複合的保護戦略にもお役に立てるものと存じます。まずは、お気軽にお問い合わせください。

もちろん、IT関連技術に限らず、典型的著作物に関するご相談も承っております。